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「明細書等に記載された発明の全部を分割出願に係る発明としたもの」とはなにか?

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photo by Peter Forret

 

先日、以下のブログ記事で伊東国際特許事務所の記事を紹介しました。


プレアンブルは発明を限定しないか?(2) - gostep's blog

 

これをキッカケに伊東国際特許事務所のサイトを見ていたら、他にも面白い記事を見つけました。「実務で役立つ分割出願について」という記事です(著者は大貫進介先生)。なおこの記事も知財管理に掲載されているとのこと(2014年4月号)。

 

記事の中で特許法44条1項について解説がされていました。この記事を読んでこれまでの疑問が解消したので紹介します。なお引用文の下線は私が付したものです。


① 原出願の分割直前の明細書等に記載された発明の全部を分割出願に係る発明としたものではないこと。
原出願の分割直前の明細書等に開示された複数の発明のすべてを、分割出願の請求の範囲に記載した場合には、分割要件違反となります。しかし、一般に、原出願の明細書等には把握の仕方により無数の発明が含まれており、その全てを分割出願の特許請求の範囲に記載することは事実上困難であり、この要件違反を指摘されることは通常ありません。

 

 

引用した記載にある①は、分割要件としていろいろな参考書に記載されている事項だと思います。にもかかわらず私はこれまで意味がよくわかっていませんでした。「明細書等に記載された発明の全部を分割出願にかかる発明としたもの」ってなんだろうって。

しかし下線部では、通常そのような出願はない旨解説されていました。記事にもあるように実務上あまり気にする必要はなさそうです。

 

ちなみに逐条解説には同じ事項を以下のように解説しています。これまでその逐条解説の記載もわかるようでわからないといった状態だったのですが、大貫先生の記事と合わせて読むと、少し理解が進んだ気がします。

「特許出願の一部を」としたのは、分割した場合はすべてについて新たな特許出願をする必要はなく、旧施行規則四四条に規定していたように「其ノ一発明ニ付テハ出願ヲ訂正シ同時ニ他ノ各発明ニ付新ナル出願ヲナス」べきものとする趣旨である。

 

 

ちなみに伊東国際特許事務所は、知財管理にも記事を掲載していますし、WebページにあるIPニュース(最新IP情報<伊東国際特許事務所)も充実しています。

「特許明細書の書き方」なんて書籍も出しているので、勉強熱心な事務所なのかもしれません。

 

特許明細書の書き方―より強い特許権の取得と活用のために (現代産業選書―知的財産実務シリーズ)

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