令和2年の弁理士短答式試験の商標振り返り。間違えた問題は多いけれど比較的容易だったのかも。
特実と意匠に引き続いて、2000年の弁理士短答試験の商標の振り返り(復習)です。
間違えた問題は以下です。
■商標法の問2
枝1と枝3で迷って、間違った枝3を選んでしまいました。
枝3を正しいものとして選んだのですが、実際には、「事後指定の通知が特許庁に登録された日」ではなく、「事後指定が国際事務局の登録簿に記録された日」を商標登録出願の日とみなすのが正しいですね。基本問題を落とした感じです。
枝1は、出願公開にかんする12条の2が根拠条文でしょうか。国際商標登録出願の場合には出願公開に関して何か例外があるかもしれない、とおもって選んでしまったのですが別にそんなことはないようです。
つまり国際商標登録出願であっても出願公開において公序良俗違反の恐れがあれば商標は掲載されないようです。
(追記)■商標の問3
これも間違えていました。ただ予備校も間違えていましたね。
商品について証明するのは、商品商標で、店頭広告を作成するだけでは商標法の使用にならないこと、の2点がポイントかと思います。
■商標の問4
これは一番、間違えたことを公開した問題でした。
枝(ハ)を正しい選択肢として選べなかったんですよね。普通に考えればわかるのに。
地域団体商標って温泉を指定役務にできるのだろうか、とか変なことで悩んでしまいました(当然できる…)。
■商標の問8
これは手続的な問題で、商法を実務でやっていない私には難しかったです。
正しい枝は3です。似たような問題が過去問にあったかもしれません。
音の意匠の場合には、省令で定める物件を願書に添付しないといけないようです。音が録音された記録媒体か何かでしょうか?根拠条文は5条4項でしょうか?
私が選んだ誤答は枝5.防護商標登録であっても、立体的形状からなる商標であることを願書に記載する必要あるんですね。これも根拠条文は5条4項でしょうか?68条で準用されていますし。正直今の時点ではわかりませんし、とけなくても仕方なかったかな、と思いました。
■商標の問9
枝(ロ)を正しい選択肢にカウントしてしまったのですが、間違っていたようです。審判では審理の終結を通知する必要ないんですね…。異議申し立てって審判十よく似ているので、勘違いしていました。完全な知識不足。
令和2年の弁理士短答式試験の意匠振り返り。法改正、特に関連意匠に要注意
特許・実用新案に引き続いて令和2年、弁理士短答式試験の意匠の間違えた問題を振り返ります。
法改正について要注意という感じでしたね。
■意匠の問4
枝1と枝3で迷って、誤答である枝1を選んでしまいました。
枝1は、意匠法6条3項に係る問題です。画像の大きさ、という概念に違和感を覚えて迷っていたのですが、その違和感は正しかったようです。物品の大きさや建築物の大きさはあるかもしれませんが、画像の大きさって条文の規定にないですね。
当日は、迷いながら、改正法の問題きたなぁ、と思っていました。
枝3は、6条5項に係る問題です。黒の彩色を省略する以上、どの部分に対しても黒を使ってはいけないのかもしれない、と思ってしまいました。黒を省略した場合であっても、模様は黒で示してよいのですね。これは、条文よんだだけではわからないような気もするのですが、常識を働かせればわかっちゃうものでしょうか。
意匠の実務する人であれば間違えることはないでしょうが。
■意匠の問8
これはTACとLECと吉田ゼミですべてわかれましたね。
それぞれ枝1、枝2、枝3となります。私はTACの枝1派ですが、あまり自信ないです。どうなるでしょうか。
枝1も国際意匠登録出願の場合には、補償金請求ができるような気はしたのですが、他の枝との絡みで、国際意匠登録出願のことは無視するんだろう、と考えました。
正直、これだけ解答が割れるとなると、良い問題ではない気がします。
■意匠の問10
枝イが正しいと勘違いしてしまいました。問題文で先出願の通常実施権と書いていますが、正しくは先使用による通常実施権(79条)ですね。ただ、これは私でなくても「先使用」と「先出願」を読み間違えるでしょう。先使用による通常実施権が発生する要件についての理解を問う問題だと誤解しても仕方ない気がします。そんなことないですか?
あと、枝(ロ)も迷いました。枝(ロ)は正しいようですが、この根拠条文は何条でしょうか。ちょっと今の時点ではわかりません。ただ、本意匠と関連意匠は権利者が完全に同じであることが必要なはずので、本意匠と関連意匠の権利者が異なることになるような持分の移転は無理ではないか、と考えました(ただ自信はないです)。
あと間違えたわけではないですが、改正された関連意匠について問われた問6もかなり難しかったです。
特に10条3項について問われた枝2。前日の土曜日にTACの改正法講座を受講していなければ間違えていました。講座を聞きながら、こんなに複雑な条文は改正直後ではでないだろうなぁと思っていたんですよね。いやはや恐ろしい。
令和2年の弁理士短答式試験の特許・実用新案振り返り。48条の8第8項の法定通常実施権に要注意か。
試験終わったあとも興奮していて、なかなか眠れないので、令和2年の弁理士短答式試験の特許・実用新案の問題のうち間違えたところを振り返ることにします。
難しかったのは、問18で、48条の8第8項の法定通常実施権を問われていたことかな、と思います。
TACの齋藤先生もおっしゃっていたように論文試験でも要注意ですね。
■特実の問4
29条の2に関する問題である枝(ロ)の正誤を間違えたようです。試験中に事例の時系列をメモしていたのですが、明らかに問題文を読み間違えていました。過去問を繰り返し解いていると、勝手に過去問と同じこととわれていると即断してしまって、現実の問題で問われていることと違うことに対して回答してしまうんですよね。落ち着けばとけたはずです。正直間違えたのは痛いけれども、私がよくやりがちなミスでした。
■特実の問5
再審に係る不責事由(173条2項)について問われた(ロ)の正誤を間違えていたようです。吉田ゼミの回答をみて、間違った理由がわかりました。条文レベルですが正直読み飛ばしがちな部分についての問いで、正直来週もう一度受けても間違えるかもしれません。
https://blog.goo.ne.jp/yoshidazemi/e/2883c6e3db802e89bf507448f608e89c
■特実の問9
TAC、LECの解答では正答は3です。吉田ゼミでは正答は1です。わたしは1を選んだので吉田ゼミが正しいとうれしいのですがどうでしょう。吉田先生の解説と同様に私も考えました。
枝3については以下のように考えました。
Cの出願は、Bの優先権を主張しているわけなので、29条の2の適用においてはCの出願はBの出願の日になされたものとみなされる。ここで出願Bの時点では、出願Aの出願人(甲)は出願Cの出願人(乙)と異なるので、出願人同一の例外規定は受けられない。
■特実の問12
私は、枝2と枝5のどちらか、と絞り込んだのですが、結局正しい5を選べませんでした。
枝5は、判定の手続きの虚偽陳述に関する問で、おそらく119条1項が根拠条文でしょうか。判定は法的な効力が生じないので、虚偽陳述しても罪に問われないのではないか、と考えたのですが、そんなことはないようです。
あと、私が間違って選んでしまった枝2ですが、これは秘密保持命令についての問で、正直、特許法の知識では正誤がわからないかな、という気がしました。
したがって、特許法の条文をしっかり覚えて枝5が正しいと自信をもってわかるかどうか、という問題でしょうか。正答率は高いかも。
■特実の問18
間違っている枝を選ぶ問題で、枝1と枝3で迷い、誤答である枝3を選んでしまいました。
枝1は50条の2、枝3は48条の8第8項について問われた問題と思います。
枝3は、審査請求徒過に関する正当理由と法定通常実施権に関する問題でした。条文そのままなので、条文の知識があれば枝3を選ぶことはありません。ただ、48条の8第8項は、おそらく近年、過去問で直接的に問われていなかったと思います。
過去問ベースで短答対策をしていてそれ以外の条文は積極的に学習していませんでした。したがってこの48条の8第8項についてもほぼ読んでおらず、規定の存在を知らなかったのが敗因です。解いていて、こんな条文あってもおかしくないよなぁ、でも読んだことないしなぁ、という感じで迷ってしまいました。
正直、枝3は、学習の範囲から意図的に排除していた条文の問題なので、間違えたのは実力的に仕方ないという感想です。
一方、枝1は、結構、長文かつ複雑な事例で50条の2の理解を問う問題でした。こちらも正直迷いましたが、条文のかっこ書き部分についてついてうる覚えで、間違った枝だと自信持てませんでした。
■特実の問19
枝(二)の正誤を間違えたようです。根拠条文は98条1項3号ですね。通常実施権の質権って特許権の質権や専用実施権の質権と違って登録しなくても効力生じるんだ…、といま復習していて知りました。これじゃ駄目ですね…。条文レベルですし基本問題なのかもしれません。
■特実の問20
枝(ロ)で間違えました。特許無効審判の棄却審決に対する取消判決の確定時に、訂正請求をするための要件(134条の3)についての問でした。正直なぜ間違ったのか、条文と照らし合わせても気づかなかったくらいなので、きちんと要件を理解できていなかったのでしょう。正直、これも来週同じ問題を解いても間違えそうです…。
実は、この問題は枝(ロ)ではなくて、枝(二)で迷っていました(結局、枝(二)についてはあっていましたが)。
枝(二)は、審判官の除斥に関する139条2号についての問ですね。子どもの離婚した配偶者というのは、三親等内の姻族だった者にあたるのでしょう。たぶん2号も近年、問われていないと思います。ただ、1号や3号は過去問で問われていて、2号もざっと見ていたので助かりました。ただ、離婚した、というところと、血縁関係にない、というところで、引っかかってかなり迷っていました。
↑明日から論文式試験にむけてこの問題集で勉強します。
そういえば論文式って法文集が渡されるはずですが、コロナによる延期で試験日に施行されている条文が一部当初の予定と異なります。法文集を刷りなおしたのでしょうか?
令和二年の弁理士試験一次試験(短答式試験)の自己採点は42~43点。2次試験に進めそう。
今日は令和2年(2020年)の弁理士試験の一次試験(短答式試験、マークシート式試験)を受けてきました。
正直、過去問を解いているときよりも難しく感じました。特に試験開始直後は、緊張のあまり特実で長文問題が頭に入りませんでした(解いているときは必死で気づきませんでしたが、今年は特実で長文問題が多かった模様)。
また意匠も法改正を正面から扱う問題が出て動揺しました。例年、法改正直後は難しい問題はでない、という話だったので正直あまり注力していなかったんですよね。山を張ってはいけないな、と試験中、後悔していました。
試験中は、特実や意匠で上記のようによくわからない問題が多発したので、すぐに解答が思いつかない問題は飛ばして後に回すことにしました。ただ、解いていない問題が途中にあることが気になってしまって、その後も気持は焦り気味に。
その結果、不正競争防止法の最後の問題を解いたときには、試験時間が1時間も余っていました。その後、飛ばした問題を解きなおしたのですが、それでも時間持て余し気味でした。
足りないよりはいいのかもしれませんが、もともとの戦略ではミスしないように問題文をじっくり読む予定だったのタイムマネジメントは失敗です。
実際、焦って問題をよく読めておらず間違えてしまった問題がありました(つらい)。
なお、試験後にタックのWEBセミナで齋藤先生の所感を聞いたりtwitterの反応をみたりしたところでは、私の印象もあながち間違っておらず、例年よりは難しかったのかなという感じです。ただ、弁理士試験の一次試験は相対評価ではなくて絶対評価で、合格基準点39点(=六割五分の正答率)を超えないと突破できないのがつらいところです。
各予備校から解答速報が出ているので、不安を抱えながら自己採点しました(※特許庁の正式の解答発表は連休明けの水曜日)。
TACの解答基準だと43点、LECでは42点、吉田ゼミでは43点でした。予備校ごとに解答が割れている問題もいくつかあってそれだけ難しい試験ということですね。
ただどの予備校の解答をみても合格基準点の39点を超えていて、法域ごとの最低基準点(=4割)も上回っていたので2次試験(論文式試験)に行けると考えてよさそうです。
あと、1次試験で問われたところは2次試験でも問われるようなので復習はしていきたいです。TACの齋藤先生のコメントを踏まえたうえでの今後の注目ポイントは以下の通り。
<特許>
■優先権
■実施権(通常&専用)
<意匠法>
■法改正(関連意匠、画像、建築の意匠)
<商標法>
■1条(法目的)
■実施権、使用権
そういえば10月1日に施行されることになる法改正で、査証制度も試験範囲に入ってくるらしいです。正直、そこがでるとお手上げってかんじですね。コロナ問題で試験日が遅れなければ試験範囲になっていなかったはずですから。さすがに出ないと思うのですが…。
私は主に上記の3冊で短答式試験を乗り切りました。すべてTACの指定教材ですね。
知財職としてのスキルアップをどう考えるか
いま、弁理士試験の勉強をします。ただ、今のうちから、合格後のスキルアッププランについても思いつくものを書き出して考えてみたいと思います。
特許以外の知財領域を学ぶ
実務では特許を担当しているので、意匠や商標、著作権についてももっと知りたいという気持ちがあります。
実務で扱う可能性は当面低いので、知的財産管理技能士一級を目指しつつこれらの領域の知識を増やしていくのはありかもしれません。
法務を学ぶ
私は、元々技術系の知財部員なので、もっと法務寄りの知識を得たいなぁという気持ちがあります。
契約書の書き方や民法の知識など。書籍の読み込みやビジネス法務検定を受けるなどが考えられるかも。
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技術知識を広げる
技術系の知財部員としてはこれが一番大事なのかも。実務で扱うことの多い機械の体系的な学習をする、あるいはITや電気など新しい領域にチャレンジするか。
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語学を学ぶ
知財部員としては語学の優先度はかなり高いでしょうね。英語、次に中国語という感じ。工業英検やHSKを受けつつ、実務に活かしていく感じになるでしょうか。
経営について学ぶ
今の仕事とは直接は関係しないですが、知財を経営に役立てるということは大切な事なので経営についての知識が将来の仕事の幅が広がるかもしれません。
資格をとるのは安易かもしれませんが、学ぶモチベーションを保つ上では中小企業診断士の取得に興味があります。
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ITスキルを得る
上で書いた技術の幅を広げることにも関連しますが個人的な興味も大きいです。プログラムやマクロを使って定型的な作業を自動化するなどできれば業務にも役立つかもしれません。
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マネジメントスキルを得る
組織人として、リーダーシップや交渉力などのスキルは得たいですね。これは学び方は正直難しい。
在外者は特許管理人によらず出願できるらしい
弁理士試験の勉強時間が足りないことが気になっていたので、「ケータイ弁理士」を携帯することにしました。新書サイズなので予備校のテキストや問題集と違って持ち運びしやすく、隙間時間に勉強しやすいです。
そういえば、TOEICの点数が大きく伸びた時も新書サイズの参考書を携帯していたのでした。この手のサイズの参考書が自分には合っているのかと思います。
2018年発売で、令和2年の試験に多少対応していない箇所もありますが、それを除くとコンパクトに情報がまとまっていてよい感じです。普段お世話になっているTACの先生が書いたものではないので、ちょっと気が咎めますが^^。
今日読んでいて、気になったのは、表題にも書いた、「在外者が特許管理人によらず出願できる」という記載です。
そうだったかな??と思って特許法8条に関する青本の記載を読んでいたところ、施行令1条に根拠があるのがわかりました。
(在外者の特許管理人)
特許法施行令
一 特許管理人を有する在外者(法人にあつては、その代表者)が日本国に滞在している場合
三 在外者が特許法第百七条第一項の規定による第四年以後の各年分の特許料の納付をする場合
※関係個所に下線を付しました。
参考書自体がコンパクトにまとまっているので、たまに解説を読んでいても、背景や根拠がわからない部分がでてきますね。
他の法律を扱ったケータイ弁理士も発売中。