米国特許法に関する疑問
先日、米国特許クレームのプレアンブルの解釈について以下のようなブログ記事を書きました。
講義の大部分は、新法下における無効審判制度(IPR)についてだったのですが、それ以外で面白い話を聞いたので紹介します。
それは、
「米国特許においてクレームのプレアンブルに発明の用途を記載してもそれは発明を限定したことにならない」
ということです。
(中略)
米国特許の権利解釈について私は不勉強で、先生のおっしゃったことを正しく理解できているか不安ですが、権利行使の際も無視されるのは始めてきく話で驚きでした。
この点、違和感や疑問点もあるので、もう少し詳細に勉強してちゃんと理解したいです。
米国特許において、クレームのプレアンブルは発明を限定しない? - gostep's blog
簡単にまとめるとプレアンブルに発明の目的を書いても発明を限定しないという内容です。
知財管理に関連記事発見
ただ、この話は自分の中で整理できていないので、なにか参考になりそうな資料を探していました。
すると知財管理2014年2月号に参考となりそうな記事として「日米欧中で通用するクレームドラフティング(その1)」を見つけました。筆者は、伊東忠重先生と伊東国際特許事務所の弁理士の方々です。
(知財管理と同じ記事が伊東国際特許事務所のサイトにもあったのでリンク先はそちらです)
記事を引用します。
米国では、プリアンブルがクレームを限定するか否かはケースバイケースで検討される。(中略)クレーム発明の限定の定義ではなく発明の目的や意図された用途を記載した場合、プレアンブルは限定として考慮されず、クレーム解釈に何ら影響を与えない*1。プリアンブルに記載された発明の目的や意図された用途が構造的な際をもたらす場合、クレーム限定として機能する*2
基本的には、目的や意図だけではクレームを限定しないみたいですね。
先日のブログ記事は、それほど間違っていないようです。
判例も紹介されていたので、次は以下の2つの事例について、英語の勉強がてら確認するのがよいかもしれません。
(1)PITNEY BOWES, INC. v. HEWLETT-PACKARD CO.
(2)In re Otto, 312 F.2d 937, 938, 136 USPQ 458, 459
事件名の読み方
最近、以下のブログを読んで知ったのですが、A v. Bだと、Aが原告、Bが被告の事件を表すそうです。あと、査定系の事件の場合は、In re Xなどと書くそうです。
こんなことは、業界関係者に取っては当たり前のことなんでしょうね。勉強が足りないなぁ。
【実務における判例の扱い】 日本では立論の根拠には特許法第29条第1項などと条文を明記しますが、英米では”Smith v. Jones”と事件名をあげます。条文があがってくることはほとんどありません。前回引用したState v. Keefeなど適例です。”Smith v. Jones”の場合は原告Smithが被告Jonesと争った刑事または民事の事件を示します。さらには、In re Smith(ex parte Smithに同じ)という表示もあります。これは日本でいう査定系事件(例、拒絶査定不服審判)の表示です。